2013年3月8日金曜日

佐久間記念交流会館 ③


 
生前に使用されたものが展示されている。
 


 
艦内で事故についての事が書き綴られてる。
 
 
 
 
小官の不注意により
陛下の艇を沈め
部下を殺す、
誠に申し訳なし、

されど艇員一同、
死に至るまで
皆よくその職を守り
沈着に事をしょせり

 
我れ等は国家のため
職に倒れ死といえども
ただただ遺憾とする所は
天下の士は
これの誤りもって
将来潜水艇の発展に
打撃をあたうるに至らざるやを
憂うるにあり、
 

 
願わくば諸君益々勉励もって
この誤解なく
将来潜水艇の発展研究に
全力を尽くされん事を

さすれば
我ら等一つも
遺憾とするところなし、
 

 
沈没の原因
ガソリン潜航の際
過度探入せしため
スルイスバルブを
締めんとせしも
途中チエン切れ
よって手にて之を閉めたるも後れ
後部に満水せり
約二十五度の傾斜にて沈降せり
 

 
沈据後の状況
一、傾斜約仰角十三度位
一、配電盤つかりたるため電灯消え
電纜燃え悪ガスを発生
呼吸に困難を感ぜり、

 

 
十四日午前十時頃沈没す、
この悪ガスの下に
手動ポンプにて排水につとむ、

一、沈下と共にメインタンクを
排水せり
灯り消えゲージ見えざるども
メインタンクは
排水し終われるものと認む

 
電流は全く使用するにあたわず、
電液は溢れるも少々、
海水は入らず
クロリンガス発生せず、
残気は五百ポンド位なり、
ただただ頼む所は
手動ポンプあるのみ、
 

 
ツリムは安全のため
ヨビ浮量六百
モーターの時は二百位とせり、
 
右十一時四十五分
司令塔の灯りにて記す
 

 
溢入の水に浸され
乗員大部衣湿ふ寒冷を感ず、
余は常に潜水艇員は
沈着細心の注意を要すると共に
大胆に行動せざれば
その発展を望むべからず、

 
細心の余り
萎縮せざらん事を戒めたり、
世の人はこの失敗を以て
あるいは嘲笑するものあらん、
されど我は前言の誤りなきを確信す、

 
一、司令塔の深度は五十二を示し、
排水に努めども
十二時までは底止して動かず、
この辺深度は十尋位なれば
正しきものならん、
 

 
一、潜水艇員士卒は
抜群中の抜群者より採用するを要す、
かかるときに困る故、
幸い本艇員は皆良くその職を
尽くせり、満足に思う、
 

 
我は常に家を出ずれば死を期す、
されば遺言状は既に
「カラサキ」引き出しの中にあり
 
(これ但し私事に関する事を
言う必要なし、
田口浅見兄よ
之を愚父に致されよ)
 

 
公遺言
謹んで陛下に申す、
我が部下の遺族をして
窮するもの無からしめ給わらん事を、
我が念頭に懸かるものこれあるのみ、
 

 
左の諸君によろしく(順序不順)
一、斎藤大臣 一、島村中将
一、藤井中佐 一、名和少尉
一、山下少将 一、成田少将
 

 
(気圧高まり
鼓膜を破らるる如き
感あり)
 

 
一、井出大佐
一、松村中佐(純一)
 一、松村大佐(竜)
一、松村少佐(菊)
(小生の兄なり)
一、船越大佐、
一、成田鋼太郎先生
一、生田小金次
先生
 

 
十二時三十分
呼吸非常に苦しい
 


ガソリンをブローアウト
せししつもりなれども、
ガソソリンにようた
 

 
一、中野大佐、
十二時四十分なり、
・・・・
 

 
ここで終わっている。
 
 
死の瞬間まで事故原因の追究と部下を思う気持ちにあふれている。
凄い方だと思う。
 
 
 
 
 
 
 

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